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【最先端技術】今さら聞けない「AI・人工知能」とは?徹底解説します!
こんにちは、グッドナイト奏多です。
IT経験は7年ほど、専攻は「機械学習/深層学習/データ解析/AWS全般」です。
みなさんはAI・人工知能についてどのくらい知っていますか?機械学習やディープラーニングとAIの違いがわかりますか?近い将来、AIが仕事を奪っていくというネガティブな意見まで散見される今、しっかりAIについて理解することが大切です。
今回は、「AI崩壊」などメディアでも話題となっているAIとは何なのか、その歴史、活用事例などについて解説していきたいと思います。
1. 人工知能・AIとは
■AI・人工知能の定義・AIの略
AIとは「Artificial Intelligence」の略です。人工知能の定義は、専門家の間でもまだ定まっていないのが現状です。さまざまな専門家がそれぞれの定義をしており、統一的な定義はありません。
以下の表は13人のAI研究者によるAIの定義をまとめたものです。
(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.45
■人工知能の種類
人工知能は「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分けられます。「人工知能を搭載!!」「世界初!人工知能を使った○○」といったようなフレーズを最近よく耳にします。
しかし、ここでいう人工知能は本当の意味での人工知能ではありません。
本当の意味とは、人間と同じように振る舞うということです。つまり、なんでもできる「ドラえもん」のような人工知能はまだ作られていません。
・特化型人工知能
特化型人工知能とは、一つのことに特化した人工知能を指します。例えば画像認識や音声認識 といった技術や自動運転技術やPONANZAなどの将棋AIも特化型人工知能と言えます。現在では、人工知能関連の研究のほとんどがこの特化型人工知能の研究になっています。
・汎用人工知能
汎用人工知能は、簡単に言うと、「なんでもできる人工知能」です。特化型人工知能は一つのことしかできませんが、汎用人工知能は与えられた情報をもとに自ら考え、応用することができる人工知能のことを指します。人そのもののようなふるまいをする、といったイメージです。
汎用人工知能が完成した時、シンギュラリティが起きるといわれており、汎用人工知能が人間最後の発明になるとも言われています。
・弱いAIと強いAI
人工知能は他にも「弱いAI」と「強いAI」に分けることができます。これらの言葉は哲学者のジョン・サール氏によって作られた言葉であり、彼は強いAIについてこのように定義しています。
「正しい入力と出力を備え、適切にプログラムを与えられたコンピュータは問題を本当の意味で理解することができる。それは人間と同じように意識・思考を持っている」
鉄腕アトムやドラえもんは強いAIともいえます。
それに対して、弱いAIを意識・思考を持たないAIとしています。特化型人工知能と同じように、現在開発されている人工知能は意識を持っているものはなく、弱いAIに分類されます。
■シンギュラリティ ※!!!!!!!!!超重要!!!!!!!!!※
「シンギュラリティ」または「技術的特異点」とも言います。人間を超える知能をもつ人工知能が発明された時のことを指します。
人間が人間を超える人工知能を発明することができたということは、その人工知能は、さらに賢い人工知能を生み出すことが可能になると考えることができます。
つまり、爆発的(再帰的)に知能の高い人工知能が開発され、人間には到底想像も出来ない人工知能がどんどん生み出されて生活が一変すると言われています。
未来学者のレイ・カーツワイル氏はシンギュラリティが2045年に到達すると予想しています。※シンギュラリティについては別途解説予定です
2. AI・人工知能の歴史
現在さまざまな産業領域でAI・人工知能を活用したモノやサービスが普及してきています。
その中でも私たちの身近にある人工知能と言えば、メッセージアプリLineの女子高校生AI「りんな」や感情エンジンを搭載したロボット「Pepper(ペッパー)」があります。
最近では将棋AIが話題になるなど、生活の中で人工知能に触れる機会は多くなっていることが実感できると思います。それでも、「人工知能のニュースをよく耳にはするけど、あまりピンと来ない」という人がほとんどではないでしょうか。
そこで、人工知能について歴史から紐解いていきたいと思います。
(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(KADOKAWA)p.61
■第一次AIブーム 推論・探索の時代(1950年代後半~1960年代)
この時代、コンピュータで「推論・探索」をすることによって問題を解決するといった研究が進んでいました。
「人工知能」という言葉の始まりは、1956年夏、ダートマスで開催されたワークショップです。ここには、ジョン・マッカーシー、マービン・ミンスキー、アレン・ニューウェル、ハーバード・サイモンと言った著名な学者が参加していました。
このワークショップでは、ニューウェルとサイモンが「ロジック・セオリスト」という人工知能プログラムのデモを行いました。
これは自動的に定理を証明するプログラムで、世界初の人工知能プログラムと言われていました。※人工知能の概念自体は1947年の「Lecture to London Mathematical Society」で提唱されていたのですが、人工知能という言葉が使われたのはダートマス会議が初めてです
第一次AIブームではコンピュータプログラムにおける様々なアルゴリズムが考案され、特にトイプロブレムと呼ばれる、迷路からの脱出やパズルを解いたりなどを得意としていました。
このブームの中で、一見知的に見える問題をコンピュータが次々と解いていき世間を驚かせました。
しかしよく考えてみると、解いている問題はすべて明確なルールが定義されているモノでした。
実際に現実にある問題については、その複雑な計算を処理する術がなく、解くことができませんでした。このことが発覚すると人工知能に対する失望感が増していき、1970年代に冬の時代=人工知能技術が停滞する時代に突入してしまいます。
■第二次AIブーム 知識をいれると賢くなる(1980年代)
「エキスパートシステム」の開発・導入がきっかけとなり、第二次AIブームが起こりました。
第一次ブームでは高度な計算はできましたが、現実的な問題となると厳しいものがありました。そこで開発された「エキスパートシステム」は、知識表現に重きを置いて作られた、専門家の知識から得たルールを用いて特定の領域についての質問に答えるプログラムです。
しかし、ここでも問題がありました。コンピュータには「常識」がないという問題です。
ここで一つ例を挙げると、“熱を下げるには”という質問に対して、「解熱剤を飲ませる」または「殺す」と答えたそうです。
確かに死ぬと体温は下がりますが…。
そもそも前提として命を守るということがありますよね。ただ、コンピュータにはそういった「常識」がないために、このような答えを出してしまうのです。
結局、このような問題に直面し、第二次ブームは収束しました。
■第三次AIブーム 機械学習・深層学習技術の発展(現在)
結果的に、2回とも人工知能の本質が見えないままブームは去っていきました。
そして現在第三次ブームが起こっていいます。
この第三次ブームが起こった大きな要因として、ディープラーニング(深層学習)という技術の発展、 ビックデータ の普及などが挙げられます。この技術により、画像や映像から情報を抽出したり、音楽や文字の生成などが可能となっています。
今までのブームでは、与えられた知識を取り出してくることしかできませんでした。AIが目指すべきところは、「自ら学習し、推測する」ことです。それを可能にする技術がディープラーニングであるといえます。
3. 機械学習
ここからは機械学習について説明していきたいと思います。
機械学習は与えられたデータ(問題)を基にプログラム自身が学習する仕組みになっており、大まかに三つに分類することができます。
■教師あり学習
「教師あり学習」は問題となるデータと問題の正解データのセットを与えることによって学習する仕組みです。
過去のデータから未来を予測する回帰と画像に何が写っているかなど判別をする分類を行うことができます。
■教師なし学習
「教師なし学習」は、正解データを必要としない学習方法です。与えられたデータの傾向を分析することができるクラスタリングなどがあります。
適用例として、ユーザーがショッピングサイトで買っているものの傾向を導き出すことができます。
■強化学習
「強化学習」は与えられた問題に対してAIが試行錯誤をすることにより、問題を解決する行動を学習します。
AlphaGo(アルファ碁)という強化学習を用いて開発された囲碁AIは世界で活躍するプロ棋士を倒して話題となりました。
4.ディープラーニング
■ニューラルネットワークとディープラーニング
機械学習の具体的な学習の仕組みとして人間の脳の神経回路を模倣したニューラルネットワークと呼ばれるモデルがあります。
ニューラルネットワークの構造は、入力となるデータを入れる入力層、入力層から流れてくる重みを処理する隠れ層(または中間層)、結果を出力する出力層で構成されます。
ディープラーニング はニューラルネットワークの隠れ層をたくさん増やしたものになります。隠れ層の数を増やすことにより、複雑なデータの学習を可能にしています。ディープラーニングがこれからの人工知能の発展に大きく関わってくることは間違いないでしょう。
5. 人工知能と仕事
■人工知能に仕事を奪われる!?
発展を続ける人工知能技術の中で、世間では「人工知能が仕事を奪っていく」とまで言われています。実際に、人工知能が仕事を奪っていく未来はすぐそこなのかもしれません。
英オックスフォード大学のオズボーン准教授らが論文において、人工知能に奪われそうな仕事のランキングを発表しています。
参考: 週刊ダイヤモンド「機械に奪われそうな仕事ランキング1~50位! 会計士も危ない!激変する職業と教育の現場」
1位は小売店販売員。「じゃあロボットが接客するようになるのか??」と想像する方もいると思いますが、どうやらそうではなくeコマースの使い勝手がさらに良くなれば、店舗の販売員が必要ではなくなるといったことのようです。確かにEコマースの利用がさらに加速すれば対人での接客は必要なくなるでしょう。
個人的に驚いたのは、安定と言われる中央官庁職員などの上級公務員までもがランクインしているということです。確かに個人情報などを機械が確実に管理できるとしたら流出も避けられますし、それに越したことはないなと思いました。
1つの作業を繰り返す業務は、人間が行う必要がなくなってきています。しかし、それに伴って複雑な仕事が多くなって来ているのも事実です。人間はこれから複雑な仕事をする役割を担っていかなければならないため、さらなるスキルアップが求められるでしょう。
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